ダンスを習い始めて誰でもまず最初に取り組むのがウォーク。初心者ほど簡単だと思い込むのだが、実は奥の深い宝の山であることを知ってる人は少ない。
男子はルーチンで前進することが多いので前進時に送り足を使うことは出来ても、後退時に送り足が使えていないもしくは使い方が不十分であることに自分で気がついていない人が殆どだと思う。
告白すれば実は自分自身がその一人なのだ。個人レッスンを始めて3年半、自慢じゃないがその間練習場では必ずストレッチとウォーク・ボックスを1時間程度かけてきた。自分でも基本に関する情熱と取り組みには人一倍やってきたという自負があった。
もちろんウォークであれ何であれ世界チャンピオンでさえ完全無欠というのはありえず、その人のレベルというかステージにおいて「とりあえず、まぁい~か」として別の課題に挑むというのが現実の姿であろう。本人がそれを自覚してるかどうかは別だが。
従ってダンスのステージが上がると、それまでは自分の踊りに全く疑問を持たなかった内容にいきなり大きな課題を突きつけられるということが時々起こる。
モダンの基本を教わってる先生にナチュラルターン後半3歩カウント4後退で指摘されたのが送り足の使い方が不十分でお尻から後退しているという点であった。
この先生にはもうずっと最初からナチュラルターンばかり習っている。ウォークもボックスもナチュラルターンも今まで何回も同じことを言われてきたはずである。しかし今回は自分のステージとテーマがピピ!と反応してしまった。他にもいくつか課題を与えられているので練習場で全部同様に取り組んでいるが、何故か気になる。かなり上手い人の踊りを見てもナチュラルターン後半3歩の後退を観察するようになった。するとやはり誰も送り足が出来ていないのだ。
こうなったらもうやる気に火が付いてしまった。ここを改善すれば差をつけられるという魂胆があったことはいうまでもない。練習法を自分で工夫して集中的に後退に取り組み始めた。そんな練習は他の誰もやっていない。シャドウでは危険なので練習場が空いて十分スペースを確保出来る場合にしかこの練習は出来ない。
そして別のモダンの先生に習っているスロー・フォックストロットのルーチンでまさしくこの課題がピッタリ役立つステップが含まれていることにすぐ気がついた。練習場では誰もが取り入れてる人気のステップで踊りのレベルの差がはっきり見てわかり、上体を柔らかく使えれば見せ場になる美しさを出せる。それはカーブドフェザーからリヴァースウェーブ&バックフェザーの繰り返しへと後退がずっと続く箇所である。先生からは最初に送り足のヒールで床をこすってブレーキをかける感じでと言われた。一回目はなんとか床をこする感じを出せるが次からはその感じを出せない。このテーマが最初に書いたナチュラルターンの送り足と同根であると自分で気がついた時は嬉しかった。
一週間くらい前からこれに取り組み始めると練習場ではポジティブな反応が返ってくる。ところがいくら褒められても出来ないから練習してるので複雑な心境だ。上体を思い切り上方にストレッチしつつ腿から後方に下げた足を送り足を使うことで更にストライドが段違いに広がった場合の快感は病み付きになる。先生に最終的なイメージを持って練習するためにと見せてもらったミルコ&アレッサのYouTubeデモファイルの伸びやかな動きにちょっとだけでも近づきたい。余談だがカーブドフェザーはそれまで味も素っ気も無い踊りをしていて、ミルコ&アレッサのデモ映像の柔らかな螺旋を描きながらライズ・フォールする美しい動きとの違いに、初めて見た時は同じステッだとは気がつかなかったほどであった。
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