そうすると「あれ?同じことを以前も言われたな」と思うことが時々ある。そんな経験を何回か繰り返しているうちに、あるスキルが本当に自分の中で消化され身につくにはその時の努力だけでは解決しない問題があるように思えてきた。その時点での自分自身の筋力・体力や身についている他のスキルとの相互関係によって、自分の中に新しい課題解決のアドバイスの受入準備態勢が整っているかどうか決まってくるのではなかろうか。
というのも焦点の当っている課題に取り組んでいる時には出来るようになったと思った技・スキルが、別の課題に移り時間の経過と共にいつしか忘れ去ってもとの木阿弥状態ということを何回も経験した。意識してやれば出来るということと、流れの中で自然に実行できるということの間には大きなギャップがあると思えてならない。本当に身に付くとは後者のことだと思う。
以上のようなことを最近考えるようになった実例を2つ挙げる。一つ目はフットワークで、見た目の美しさには意外に重要な要素である。二つ目はホールドの力強さである。
まずフットワークだが、具体的には足首の使い方のこと。誰でも最初にウォークの指導を受けると思う。始動の時にいきなりヒールで床をこすりながら足首を出すというのは誰でもやること。最初は他に修正すべき点が多数あって見逃してくれていた先生が、ダメだししてくれたら少しは上達した段階になったということ。
アイスクリームをスプーンですくうイメージと思ったのは自分だけかもしれないが、まずサポーティングフットで床のプレスから始まりその反作用でムービングフットのヒールを持ち上げトウが床に着いた状態になる。前進の例で説明するとここからサポーティングフットが床をプレスする強さで歩幅が決まってくるのだが、ムービングフットはトウからボウル、そしてヒールにと床との接触面が変化しながら前進する。
こうして股関節・ひざ・足首が連動した柔らかな動きが美しさを生む。ウォークの練習では始動する場合だけこの練習が出来るが、ボックスの練習ではロアして前進する時に毎回この練習が出来る。最近はウォークもボックスもフットワークを意識しながら練習するようになった。
次に二つ目のホールド。
実はモダンの男の先生はレッスン中の後姿、特にホールドの美しさに惚れ込んでレッスンをお願いするようになったという経緯がある。自分の見る目を自慢する訳じゃないがその年の統一戦でいきなり準決勝進出した時には予想外の早い出世にビックリしたものである。
だから最初からこの先生の指導によるホールドには練習場で注力してきたので自分なりに小さな自信めいたものが芽生えていた。生で見るプロの中で参考になる人は皆無とまで思うようになってきた。
従って肋骨の引き上げや背骨を直線に近づけるための胸部と腹部の逆の動かし方等・・・はある程度出来るようになってると思い込んでいた。
そこに今回新しい種目でホールドの力強さが求められる段階に入り、新しい挑戦が始まり新しい視線でホールド改良作戦が始まった。しかし言われてることは以前にも聞いたような記憶がある。
具体的には肋骨の上部を今までより強烈に引き上げる。前に出て肋骨上部が上向くので自然と頭は今までよりやや上向きになる。この技は他種目でも共有ということで、実際にやってみせてくれた先生の動き(今までのレベルと新しい技の比較)で、一目瞭然迫力のある力強さが加わっていることがわかる。
今までもレッスンの中でその力強いホールドは見せてもらった記憶があり、目に焼きついているのだが、その時点では「まだ無理」という判断でさらりと流していたのだと思う。それが種目も変わりいよいよ焦点が当てられる段階に来たということであろう。
その練習法も教わり、レッスン中に先生にやってみせて「出来てる」と言われることもあるが、見た目以上に非常にきつい。数秒も維持できないというのが現状なのだ。先生に「瞬間芸しか出来ません」と言えば、「確かにきつくて苦しく正直に顔に出せば凄い顔になるので、何でもないような顔をする練習もしてます」とのことであった。やはり先生も苦しい練習を経て今のレベルまで到達出来たのだとわかった。これはやるしかないと決意したがどこまで到達できるか・・・トンネルの先にまだ光は見えない。
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